花角英世・新潟県知事の「柏崎刈羽原子力発電所6号炉及び7号炉の再稼働について」に対する弁護団声明

2025/11/28

11月21日に花角英世新潟県知事が柏崎刈羽原発6号炉及び7号炉の再稼働容認を表明したことを受け、脱原発弁護団全国連絡会は柏崎刈羽原発運転差止請求訴訟弁護団と連名で、表題の声明を公表しました。


花角英世・新潟県知事の「柏崎刈羽原子力発電所6号炉及び7号炉の再稼働について」に対する弁護団声明

2025(令和7)年11月28日

柏崎刈羽原発運転差止請求訴訟弁護団・脱原発弁護団全国連絡会

 

 新潟県の花角英世知事は、本年11月21日、「柏崎刈羽原子力発電所6号炉及び7号炉の再稼働について」を発表し、政府からの再稼働の方針への理解要請については、「原子力発電の必要性と発電所の安全性」についての国の説明が県民に伝わるように努めること等の7項目に対する「国の対応を確認した上で、新潟県は了解することとする」と表明した。この判断・結論に対する県民意思の確認方法については、「この判断に沿って今後県知事の職務を続けることについて、県議会の信任を得られるか又は不信任とされるのか判断を仰ぎたい」とし、新潟県議会の議決に委ねる考えを明らかにした。

 私たちは、花角知事のかかる判断を到底認めることはできない。福島第一原発事故による被災者の苦難がいまだに続いているこの時期に再稼働容認の判断を出す正当性は全くない。

 しかも、県知事は7つの項目にわたって「国の対応を確認する」として、その判断の前提について改めて確認するかのようにしつつ、同項目中の避難路の整備促進・屋内退避施設の集中整備(第4項)、武力攻撃等対策・使用済み核燃料処分・災害発生時の損害賠償等(第5項)、東京電力に対する「監視強化チーム」の設置とその取り組みの周知(第6項)など、今後さらなる継続的な検討が必要な未解決課題を掲げている。このことは、政府の再稼働要請に県知事が対応しつつも、県知事が政府に再稼働にあたっての未解決課題の対応を求めるという、互いに最終責任を回避する、まさに「無責任の体系」による意思決定を行なっていると言わざるを得ない。

 新潟県による県民意識調査では、「再稼働の条件は整っていない」旨の回答が約6割、東京電力が原発を動かすことを心配だとする回答が約7割を占めた。再稼働を認めないという県民の意思は明らかである。東京電力の原発運転事業者としての技術的能力や適格性を不安視させる出来事は、最近に限っても、柏崎刈羽原発6号機での制御棒を引き抜けないトラブルやテロ対策に関わる秘密文書の管理不備など、挙げればきりがない。

 花角知事が新潟県民のリーダーとして示した「再稼働容認」判断は、すべての新潟県民ひいては日本社会全体に原子力災害という危難をもたらしかねない。

 東京電力を被告として2012(平成24)年4月に新潟地方裁判所に提訴した柏崎刈羽原発運転差止請求訴訟は、本年12月18日に第49回口頭弁論を迎える。新潟県民のみならず、福島原発事故被害者、近隣や首都圏を含む全国からの原告やサポーターに支えられ、私たちは、福島第一原発事故で明らかになった原子力災害による被害の甚大性、広範性、人格権侵害の実相、柏崎刈羽原発の設備の危険性、地震動の過小評価や敷地地盤の不安定性、複合災害時の避難の困難性、東京電力に原発を運転する資格がないこと等を主張立証してきた。審理は大詰めを迎えている。

  本来、行政は地域住民をはじめ社会を構成するあらゆる人々の生命・身体及び財産等を保護する役割を果たすべきところ、今や県知事、政府はこれを蔑ろにしている。

 私たちは、司法の力で柏崎刈羽原発を止めるために、勝訴判決を目指し引き続き全力を尽くす。

以 上

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