速報:不当決定 コロナ仮処分

2021年3月17日

本日3月17日、大阪地裁第1民事部(内藤裕之裁判長、一原友彦裁判官、相澤千尋裁判官)は、住民らの申立てを退け、新型コロナ禍であっても、関西電力大飯、高浜、美浜原発の運転継続を許す判断をしました。一番下に報告会での弁護士報告動画を追加しました*3/19 17:29更新

大阪地方裁判所正門前

決定要旨 

決定文(目録略)

司法大観より

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弁護団声明(大阪地裁による不当決定を受けて)

2021年(令和3年)3月17日

コロナ下では,原発は止めておけ!仮処分弁護団

1 本日,大阪地裁第1民事部(内藤裕之裁判長,市原友彦裁判官,相澤千尋裁判官) は,本日,住民らの主張を退け,高浜発電所1号機乃至4号機,大飯発電所3・4号機,美浜発電所3号機(以下「本件各原発」という。)の運転差止の申立を却下する決定(以下「本件決定」という。)を出した。

2 本件決定は,避難計画の不備だけでは原発差し止めの理由にならないと,判断した。

  しかし,船舶や航空機でさえ,その運転に際して,万が一の事故に備えて人的損害の発生の回避の措置を採ることを求めている。すなわち,船舶安全法は救命ボート不備のときは他の部分が完璧でもその船舶の運航を禁止し,航空法は脱出シュート,酸素吸入器不備のときは他の部分が完璧でも航空機の運航を禁止している。原発は,それらよりもはるかに甚大な被害をもたらす。原発の運転に際して,万が一の事故に備える避難計画の実効性を求めないことは極めて不合理であり,人の生命,健康を軽視する判断である。避難計画に実効性がない場合はそれのみで原発の運転を禁止すべきことは上記船舶安全法,航空法の精神から明らかである。本件決定は「前段否定」という深層防護の精神に反している。

  本件決定の考え方は,4層までの対策(過酷事故を起こさず,起こっても被害を抑える対策)がなされていれば,5層の対策(住民防護のための避難計画)は不十分であっても構わないというもので,国際標準である「深層防護」の考え方の否定である。10メートルを超える津波は来ないから,津波対策はしなくてもいいとして福島原発事故を招いた東電の考え方から一歩も出ていない。事故の危険が甚大である原子力発電所では,常に万が一の事態に備えて対策をとるべきであり,それがとられていないのであれば,運転は許されてはならないのである。

裁判所に福島原発事故の教訓から学ぶ姿勢がみられないのは極めて遺憾である。

3 本件決定はコロナ禍で原発重大事故が起きた時に住民は避難ができるか否かの判断をしないで逃げた。誠に卑怯な決定である。

4 本件各原発が事故を起こして,福島よりはるかに人口の多い関西の住民らが避難することになった時に,避難所や避難時に利用するバスなどで三密にならずに避難することなど到底不可能である。避難所やバスで外気を入れるべきかなどきちんと判断すべきであった。

  本件決定が,福島原発事故を経験してもなお,住民らの命,健康に直結する避難計画の実効性の判断から逃げたことは決して許されるものではなく,強く抗議する。

以上

弁護団声明 [PDF]


申立、審尋の報告

新型コロナウイルス猛威を理由とする原発差止仮処分申し立て

コロナ仮処分報告

コロナ仮処分報告2

報告集会 

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