不当決定:女川即時抗告審決定

2020年10月28日

10月23日、仙台高等裁判所(小林久起裁判長、鈴木桂子裁判官、本多幸嗣裁判官)は、住民らによる、即時抗告の申し立てを棄却しました。

7月6日に仙台地裁が住民らによる、女川原発の再稼働同意を仮に差し止める申立てを却下し、7月10日に住民らは即時抗告の申し立てをしていました(7月13日記事 不当決定:女川原発再稼働同意差止仮処分)。

債権者団、弁護団から寄せられたコメントとともに決定書をアップします。

棄却決定(R2.10.23)※当事者目録黒塗り版

抗告審の決定を受けてのコメント(R2.10.23)

抗告審の決定を受けてのコメント

令和2年10月23日

債権者団・弁護士団

決定要旨

1 差止める程の必要性は認められない

「人格権の侵害を予防するために必要であるとはいえない」(5P,10P)

「抗告人らに生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるために必要とするときにあたらない」(10p)

「避難計画の実効性が不十分であるという観点から再稼働の直接の原因ではないこれらの行為を差し止めるほどの必要性は,直ちに認められるものではない」(9P)

2 (事前了解や理解の表明は)東北電力の再稼働と同視できない

「(事前了解)や(理解の表明)は2号機を再稼働させる東北電力の行為と同視できるものではない」(5P)

「抗告人らに生ずる生命,身体の被害の危険は,あくまで東北電力が女川原子力発電所2号機の再稼働をすることを直接の原因として生ずる危険であって,抗告人らが差止めを求める宮城県や石巻市の行為を直接の原因として生ずる危険ではない。(9P)

「東北電力の事前協議への了解や,再稼働への国の方針への理解の表明は,再稼働の直接的な原因行為として位置付けられるものではない(9P)

「2号機の再稼働の判断は,事業者である東北電力が,2号機の工事が完了する令和4年以降に,立地自治体の意見のほか,法定の諸手続の履践状況等を始めとした諸情勢を総合的に判断して行われるのである。」(9Pから10P)

「(了解,理解の表明は)2号機を再稼働させる東北電力の行為と同視できるものではなく」(10P)

3 避難計画の実効性に問題はあるが不断の努力の傾注を約束している

「このような住民の福祉ないし地域住民の健康を守るという観点から原子力防災時におけるUPZ内住民の避難計画の実効性を検討すると,相手方らも一定程度認めているように,現状ではなお相当の課題が残されていることは認めざるを得ないであろう。」(8P)

「一方で,相手方らは,避難計画については,市民・県民の生命・身体の安全の確保を図るべき債務を深く自覚して,抗告人らからの貴重な意見も踏まえながら,不断にその実効性を高めるための創意・工夫を凝らし続けて来ているものであり,その努力は,当然に将来にわたっても続けられていくべきものであり,上記の女川地域の緊急時対応が了解を得た後も努力を中止することはなく,防災訓練等を通じて避難計画の実効性を高めていくべく不断の努力を傾注していくと主張する。」

(7p)

コメント

1 放射性物質放出事故が発生する具体的危険性があることについても債権者らに主張疎明する責任があるとした原審決定を維持しなかったことは評価できる。

2 避難計画の実効性に問題があると認めたことは評価できる。

3 事前了解と理解の表明は再稼働の許容を意味する。住民と自治体が関われるのは,事前了解と理解の表明まで。住民にとって再稼働とその許容は同じことである。同視できないとする判断は納得できない。

4 今までの努力でなぜ避難計画の実効性を確保できなかったのか(その原因)今後の努力によって避難計画の実効性が確保されるのか(見通し)に踏み込んでいないことも納得できない。

5 東北電力が,2号機再稼働の判断をするにあたり,避難計画の実効性は考慮に入れない(事前了解と理解の表明がなされたことをもってそれに代えること)を看過している。

6 再稼働までの間に避難計画の実効性が確保されるかどうかをチェックし,再稼働に対する次の手段を検討したい。

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