新・もんじゅ訴訟第5回口頭弁論期日報告

2016年12月9日

 12月7日11時半から、新・もんじゅ訴訟第5回口頭弁論期日が開かれました。期日に先立って、10時半から裁判所正門前で前段集会が持たれました。原告らは、もんじゅ廃炉への動きへ導いたのは長年の反対運動、前のもんじゅ訴訟での闘いの成果であり、喜ばしいが、もんじゅ失敗にもかかわらずの後継の高速炉の研究を続けるという報道にあきれる、3・11福島第一原発事故を経験して原発は事故を起こさないとの神話のウソと事故の甚大さ、甚大さは分ったはずなのになぜと、この裁判に参加した意味や、地元福井での報道の状況などを、それぞれの言葉でアピールしました。

前段集会

前段集会

 口頭弁論期日では、まず、提出書面の確認があった後、原告の松田正さん(福井県在住)より、このもんじゅ訴訟に参加した理由、もんじゅはあってはならないことの理由を述べました。3・11直後に、福島に飲料水やガソリンを運んだこと、その時、小さい子どもを抱えたお母さんが、わが子に無用な被曝をさせたくないと必死だったこと、避難生活が続く中、非常に困難な状況を目の当たりにしました。その後、時間が経つうちに松田さんが持参した飲料水を、放射能にこだわると復興が遅れる、差別されてしまうと受け取らなくなっていったこと、被災地での家族の分断状況から、自然の震災と異なる原発事故の被害の深刻さを訴えました。地元福井県では避難計画が義務付けられ、安定ヨウ素剤が配布される状況にあるが、そのような被曝することが前提の発電などは許されるのかと疑問を投げかけました。そして早く夢の原子炉から目を覚ませ、これ以上同じ過ちを繰り返してはいけないと意見陳述を終えました。
 次に、海渡雄一弁護士より、原告準備書面(5)及び(6)について、口頭で説明しました。準備書面(5)は、もんじゅ特有の被害について説明してほしいという裁判所のリクエストに応えたものであり、深刻な被害を伴うことから原告適格は認められると述べました。また、準備書面(6)において、ここ1年のもんじゅ廃炉への動きと裏腹に、11月30日の会議によると高速炉の開発方針がたてられ、さらにこの会議メンバーは所轄大臣ともんじゅ所有者、電気事業者、もんじゅのメーカーという利害関係人のみであり、重大な方針を決定する会議として極めて問題であると述べました。そして、原子力発電というのは実験炉、原型炉、実証炉、商業炉という段階を踏んでいくものであるところ、もんじゅ原型炉で失敗しながら、次のステップである実証炉に進み、そのためのデータは未だ確立していないフランスの「アストリッド」から貰うなどふざけた議論だと批判しました。そして、朝日新聞12月1日記事から、大島堅一立命館大学教授は,「『国家プロジェクトだから』と何十年も続ける原子力開発のようなケースはさまざまな研究領域の中でも極めて例外的です。」「まだ稼働していない青森県六ヶ所村の再処理工場を含めて核燃料サイクルは中止すべきです」と述べていること、河野太郎前行政改革担当相は,「とるべき道はただ一つ。もんじゅを速やかに廃炉にし,従来の核燃料サイクル政策を変更すること。その上で,青森県に対し,『青森を最終処分場にはしないが,中間貯蔵場所にさせてほしい。しかるべき保管料は支払う。』と頭を下げることです。」と述べていることを紹介しました。
 最後に、経済産業省の幹部が,「核燃料サイクルをやめれば,『パンドラの箱』が開いてしまう。高速炉開発を続ける意思を示す計画は,箱を封印する『お札』のようなものだ。」と発言していることに触れ、このような数億円のお札は許されない、今こそパンドラの箱を開けよ!希望が残っていると締めました。
 今後の進行について裁判所が被告、参加人に確認したところ、被告国は、必要があれば、原告が反論未了の第2準備書面の反論と併せて行う、原子炉については、今後上申書を提出する予定であると述べました。参加人は原告準備書面(5)への反論を検討予定と述べました。
 次回口頭弁論期日は3月8日14時15分からであると確認し、この日の期日を終えました。

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記者会見を兼ねた報告集会

 13時より、場所を参議院議員会館に移し、記者会見を兼ねた報告集会を行いました。
 原告団共同代表の中嶌哲演さんは、明日12月8日はもんじゅのナトリウム事故が起きたのは戦後50年の日であったこと、事故を起こした日が真珠湾攻撃であったことが印象深いと述べました。そして、仏教者にとっては12月8日はお釈迦さまが悟りを開いた日であり、そのようなもんじゅがこの事故を起こしたことは、本来の、生きとし生けるものといかに共存していくかの慈悲や智恵、そのことに思いをいたし、エネルギーやライフサイクルを選ぶ機会だったのにできなかったことが悔やまれると述べました。

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 同じく共同代表で「ストップ・ザ・もんじゅ」の池島芙紀子さんは、自分たちが要求したときには経産省の官僚は「高速炉」には「高速増殖炉」も含んでいるか明らかにしなかったが、福井新聞の記事によると、含まれていると明言したと報告しました。また、10月30日毎日新聞全国版に全面広告を打ったことの報告と、この広告の増す刷りを使って、地方議会へ原発再稼働、核燃サイクルの中止を求める働きかけをおこなってほしいとよびかけました(お願い文書:申込書になっています)。

10月30日毎日新聞全面広告を紹介

10月30日毎日新聞全面広告を紹介

 同じく共同代表で岐阜から来られた兼松秀代さんは、21年前のもんじゅナトリウム漏洩火災事故はとても怖い思いをしたが、当時、原発安全神話の中、周りで同じ思いの人がいなかったことを話されました。また、ここ最近のもんじゅをめぐる報道から、日本の政治の無責任さと傲慢さと欺瞞の象徴がもんじゅの廃炉と高速炉計画だと思う、なぜもんじゅ廃炉の理由を説明しないのか、増殖の技術があるのかないのか明らかにしないのか、そのようなことは放置したままもんじゅだけやめるのかと疑問だったが、今日の裁判にきて、この疑問は間違いではなかったこと、事故を起こそうが「挑戦」だから許されると考えているとはごまかしだと強く批判しました。

 政府は20日にも関係閣僚会議を開いてもんじゅの廃炉を正式決定する方向で調整していると言われています。もんじゅの危険性、技術的な破たんは明白であり、後継の高速炉など、ありえません。この裁判を通じて、廃炉への工程を監視するとともに、国民、市民を欺く政府のやり方を許さないという声をきちんと上げていかなければと思います。
 次回第6回口頭弁論期日は3月8日14時15分からです。どうぞ、ご注目ください。


原告提出書面

準備書面(5) 準備書面(6)

証拠説明書(5) 証拠説明書(6)


被告国提出書面

10月5日付上申書

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