【新刊ご紹介】朝日新聞「吉田調書報道」は誤報ではない 隠された原発情報との闘い

2015年5月11日

新刊のご案内です。

脱原発弁護団全国連絡会の共同代表でもある、海渡雄一弁護士による、『朝日新聞「吉田調書報道」は誤報ではない 隠された原発情報との闘い』が緊急出版されました。

冒頭に同共同代表の河合弘之弁護士も執筆しています。

2014年5月20日の朝日新聞スクープ「吉田調書」はなぜ取り消されたのか。吉田調書を報じた二人の記者は朝日新聞連載「プロメテウスの罠」の執筆も担当し、血のにじむような努力と、丁寧で執拗な取材でこの記事を書きあげました。3・11直後から関係者への徹底的な取材、「東電テレビ会議記録」をはじめとした膨大な客観的な証拠の入手と読み込みがあってこそ、吉田調書そのものにたどり着き、吉田調書の間にある、事故の真実に迫ることができたのです。

2011年3月15日の未明、日本の存亡に関わる重大事態でした。記事からはひとたび起きた原発過酷事故の暴走は手の付けられないこと、現場の混乱が伝わってきます。たしかに東電は全員の撤退を予定していました。それが、この記事の取消によって、事故原因の追及がタブー化するのではないかと強く危惧されます。

昨年5月21日の福井地裁大飯原発差止判決、今年4月14日の高浜原発差止仮処分命令は、福島第一原発事故に正面から向き合いました。

他方、4月22日の川内仮処分申請は却下されましたが、事実誤認に満ち、論旨は一貫しない不当な決定であり、福島第一原発事故など、まるでなかったかのように被告九州電力の主張のコピーというような決定です。

 海渡雄一弁護士は事故後明らかになったさまざまな事実を元に、吉田調書記事を検証するとともに、原発差止訴訟等に関わってきた自分であるからこそ、福島事故についても真実を究明する闘いをしていかなければならないと述べています。

編集者の丁寧な校正により、とてもわかりやすい内容に仕上がっています。七つ森書館からの『いいがかり』と共にお読みください。

一人でも多くの方に読んでいただき、福島第一原発事故の真実、吉田調書の記事について関心を持っていただけることを願っています。

以下、出版社のサイトより引用。

もっとも危機的だった2011年3月15日の朝、福島第1原発では何が起きたのか?最大の危機を浮き彫りにした朝日新聞「吉田調書報道」は、作業員の名誉を傷つけたとしてバッシングの対象となり、朝日新聞は記事を取り消し、「報道と人権委員会」はこれを追認した。

この判断は正しかったのか?客観的な資料に基づいて検討する!

これまでも原発情報がいかに隠蔽されてきたか、歴史的に振り返る。津波対策の不備に関する重大な新事実も報告する。

*抹殺された「吉田調書報道」が続々受賞!
・第19回新聞労連ジャーナリズム大賞特別賞!
・2014年メディアアンビシャス、アンビシャス賞!
・第4回自由報道協会賞ノミネート!

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