大飯・高浜原発差止仮処分弁護団より:関電の忌避申立てで仮処分決定は出せなくなるの?

2015年3月14日

3月11日の大飯・高浜原発差止め仮処分の第2回審尋期日後、問合せを多くいただいたので、弁護団の鹿島弁護士より、以下の書面をいただきました。

3がつ1

第2回審尋期日後の記者会見


 

文責:弁護士 鹿島 啓一

裁判長が高浜原発について決定を出すと言ったとき,関電は裁判官3人の忌避を申し立てました。
忌避というのは,裁判の公正を妨げるとして裁判官を裁判から外すことです。
本件では,裁判の公正を妨げる事情は全くありませんので,関電の忌避申立ては間違いなく却下されます。

では,なぜ関電はこのように到底認められない忌避を申し立てたのでしょうか。
それは,忌避申立てをすると,原則として忌避申立てについての決定が確定するまで手続が停止するからです。

民事訴訟法第26条  除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての決定が確定するまで訴訟手続を停止しなければならない

関電が決定を遅らせるために裁判官の忌避を申し立てたことは間違いありません。
極めて不当な行為だと思います。

でも,関電の思惑通り,忌避申立てによって裁判所は仮処分決定を出せなくなるのでしょうか。
私たちは,忌避申立てについての決定が確定する前であっても,裁判所は仮処分決定を出せると考えています。
理由の一つは,関電の忌避申立ては,忌避権の濫用なので,民事訴訟法第26条は適用されず,手続は停止しないと考えるからです。
もう一つの理由は,民事訴訟法第26条ただし書です。

民事訴訟法第26条  除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての決定が確定するまで訴訟手続を停止しなければならない。ただし、急速を要する行為については、この限りでない。

仮処分決定は,この「急速を要する行為」にあたるので,忌避申立てについての決定が確定する前であっても,出せるのです。

もっとも,忌避申立てについての決定の確定を待っても,裁判所が3月中に決定を出すことは十分可能です。
3月13日,関電の忌避申立ては福井地裁で却下されました。これに対して,関電は高裁に即時抗告をすることができます。抗告期限は3月20日です。
関電は,おそらく期限ぎりぎりの3月20日に即時抗告をすると思いますが,本件で忌避が認められないことは明らかですので,高裁もすぐに抗告棄却決定を出すと思います。どんなに遅くても3月27日には抗告棄却決定が出ると思います。
そうすると,関電は,今度は最高裁に特別抗告や許可抗告をするから,忌避申立てについての決定の確定を待っていては,3月中に決定を出せないのではと思われるかもしれません。
しかし,特別抗告や許可抗告は,即時抗告とは異なり,決定の確定を遮断する効力はありませんから,関電が特別抗告や許可抗告としたとしても,即時抗告の棄却決定時点で忌避申立て却下の決定が確定することになります。
このように忌避申立てについての決定の確定を待ったとしても,裁判所が3月中に決定を出すことは十分可能だと思います。

結論としては,関電が今回行った極めて不当な忌避申立てについては,どのような考え方をとっても,とるに足らない行為だと思います。
ちなみに,私は,関電の忌避申立てを予想していました。裁判所も予想していたと思います。

以上

同じカテゴリの記事

2019年11月13日
関電原発マネー不正環流を告発へ
2019年10月25日
11月の原発裁判 本日発売の週刊金曜日
2019年9月30日
10月の原発裁判 発売中の週刊金曜日