新・もんじゅ訴訟 第9回口頭弁論期日報告

2018年2月20日

「もんじゅ」は終わっていない

2月19日、晴れ渡った空の下、東京地裁正門前で裁判前の原告と支援者による前段集会が行われました。原告はもんじゅから250Km内の105名の住民です。
原告団共同代表の兼松秀代さんより、推進側にとってはもんじゅの廃炉決定は「突然死」で走りながら廃炉の方法を決めなければならないなどとの暴言がまかり通っていること等を報告がありました。また、金沢在住の原告より、金沢も豪雪を被り、このような中での避難は全く想定されていない恐ろしさを訴えました。さらに、福井でも昭和38年、昭和56年に続く豪雪であり、このような中、もんじゅにはナトリウムの取り出しの弁がないなど、許しがたいと述べられました。

入廷する原告、支援者ら

この裁判は廃炉過程を監視する

14時半からの第9回口頭弁論期日では、海渡雄一弁護士より、原告提出の準備書面(10)に基づき、毎日新聞報道(昨年11月末、原子炉容器内を満たしている液体ナトリウムの抜き取りを想定していない設計になっていると、日本原子力研究開発機構が明らかにしたと報じられた。放射能を帯びたナトリウムの抜き取りは廃炉初期段階の重要課題であるが、廃炉計画には具体的な抜き取り方法を記載できない見通しであり、設計当時は完成を急ぐのが最優先で、廃炉のことは念頭になかったという。規制委側も「原子炉からナトリウムを抜き取る穴がなく、安全に抜き取る技術も確立していない」と懸念していると言う)に触れ、廃炉第1段階についての被告の説明に疑問を呈し、以下の事項につき、説明を求めました。

(1)原子炉容器内を満たしている液体ナトリウムの抜き取りを想定していない設計になっているという点は事実か?
(2)もんじゅが設計段階で参考にしたフランス,ドイツ,イギリスの高速増殖炉も同様の構造となっているのか。
(3)参加人は,原子炉容器内のナトリウムの抜き取りについては,今後詳細に検討して決定していくが,原子炉容器の底部まで差し込んであるメンテナンス冷却系の入口配管を活用するなどにより抜き取ることが技術的に可能と考えているとするが,具体的な抜き取り手順を示されたい。
(4)もんじゅが設計段階で参考にしたフランス,ドイツ,イギリスの高速増殖炉では,どのような方法で一次系ナトリウムを抜き取ったのか。
(5)被告国は,本件原子炉施設に係る廃止措置計画認可の申請において,ナトリウムの抜き取り方法について具体的な抜き取り方法の適否を含めて審査するべきであると考えるが,そのとおりでよろしいか。この場合に,被告国において可能な範囲で,審査すべき事項と審査の見通しを明らかにされたい。

 

裁判長も廃炉の経緯に関しては、状況が変わったら随時報告するように被告に求めました。被告も検討の上、廃炉措置については必要な限度で説明する旨答えました。
裁判所は3か月以内に次回期日を入れたいとして、次回第10口頭弁論期日は5月7日11時半からと指定されました。

廃炉過程も油断できない

15時半から参議院議員会館で報告集会が行われました。冒頭にもんじゅを巡る事故や反対運動、裁判闘争の歴史を振り返る映像を見た後、共同代表の中嶌哲演さんから、補足の説明がありました。プルトニウムはPluto、長崎に投下されたプルトニウム原爆であり、人々を地獄の苦しみに追い込んだこと、事業者にとってのもんじゅの下にあるライオンは、科学を完璧にコントロールできるという傲慢を意味しているが、仏教徒にとってはライオンは人間のエゴイズムであり、このエゴイズムを文殊の智恵で制御するものであることを話されました。そして、もんじゅが廃炉になったと言ってもとても安心できるシロモノではないこと、全国民・市民で監視していかなければならないと強く呼びかけました。

参議院議員会館

福武公子弁護士は、1970年代のもんじゅの基本設計の前段階である概念設計に関わった経験を話してくださいました。動燃(機構の前身)が金を出して、各メーカがそれに群がる状況であり、原子炉は三菱、1次系は日立、2次系は東芝であったこと。1995年12月のナトリウム漏れ火災事故では東芝の二次系の温度計が折れた際、アメリカの基準を満たしていないと問題になったが、日立の一次系はアメリカの基準を満たしており、折れなかったことなどから、他のメーカとの情報共有がなされず、いかに動燃からお金を取るだけが目的であることを述べました。これを今後の廃炉事業となると、メーカにとってはいかに機構に金を出させるかということになり、費用も期間もかかるところ、そのような経緯をオープンにさせる必要があり、資金計画を監視する必要があると強く訴えました。訴訟としては、廃炉計画が認可されたら元の処分が無くなるので、却下されることになるが、監視の必要性がある旨述べました。大河陽子弁護士より、今回提出された国のH30.2.19第6準備書面によると、廃炉措置は平成59年度に完了予定であると述べられていると付け加えました。

裁判報告する弁護団(左から福武弁護士、大河弁護士、海渡弁護士)

今後のもんじゅの監視について、裁判だけにとどまらず、新潟県の福島第一原発事故の検証委員会のように自治体が参加する形ができないか、「『もんじゅ』に関する市民検討委員会」の提言の話なども出ました。首都圏では殆ど報道されなが、もんじゅを巡る情報は福井新聞「ふくなわ」に掲載されているので、チェックしましょうという話も出ました。
最後に、本日はご欠席だった共同代表のひとり池島芙紀子さんの代わって、2月21日開催の「核燃料サイクル政策撤退のとき」への参加を呼びかけました。

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